高周波炉の実験



  1. 電源トランスの作成:


  高周波炉は前から作りたいと思っていたが、大きな電源が無いので頓挫していた。(スライダックで 3〜5A程度) そこで、壊れていた20年前の電子レンジ(消費電力:1310W、 マグネトロン出力:730W)があったので、そのトランスを取り出して改造した。(そのまま取り出したが、もし電源を入れていたなら 感電防止のため電源コンデンサーをドライバー等でショートする。)
  まず、高電圧の巻き線(2000V、線の細い方)を、そのまま側面から金引き鋸で切断する。 ドライバーとハンマーで中に詰まっている巻き線を叩き出し、引き抜く。 穴のライニングを残して、さらに内側の角部に絶縁テープを貼る。 鋸引きの際、金属部が露出した面には、高周波ワニス等を塗っておく。
  次に、φ2mmPEW線を 各1.5m程度に切り、内側からきつく巻いていく。(テープで覆ったマイナスドライバーでテコで押し当てる) 次の1.5mの線を 端部をはんだ付けして 端子を出し、さらに巻いていく。 5回繰り返し、全部で 30T(ターン)になるように巻き線する。(かなり一杯に詰め込む)

  (巻き線ごとのAC電圧(測定値)と ×√2 のDCV(計算値))

  6.5T ・・・ 5.9V(AC)  8.3V(DC)、    13T ・・・ 11.6V(AC)  16.4V(DC)、    19T ・・・ 17V(AC)  24V(DC)、    26.5T ・・・ 22.8V(AC)  32.2V(DC)、     30T ・・・ 26V(AC)  36.8V(DC)

 

  因みに、2.(1) 機の 無負荷時の電圧・電流は、  19T ・・・ 22.4V(DC)  1.5A、   30T ・・・ 33.6V(DC)  3A   程度となり、誘導コイル等の自己発熱で、100W程度 自然消費している。 また、 2.(2) 機の 実験より、 最大電流は30A程度は出て、この時電圧降下して23V程度になることを確認した。(= max700Wくらい)
  * また、AC100V入力側に ノイズフィルターを追加で付けた。

  (参考)  電線の許容量:  φ2mm単線:35A、 φ1.2:19A、 φ1.6:27A、    2.0mm2 より線:27A、 0.75mm2:12A、 1.25mm2:19A

  * 別のやり方として、下の側面にある溶接部は浅く、グラインダーで削り取ることができ、I 型と E型の 2つのコアに分かれるので、巻き線が容易になる。
  ** 高周波炉の電源のほかに、巻き線の本数を増やして 太い4〜5T にして、スポット溶接機(出力3〜4V)を作ることができる。




  2. (1) ZVS自励発振高周波電源の作成:


  回路は、 43.高電圧発生回路(4)(=ZVS(Zero Voltage Switching)ドライバ)とほぼ同じである。 誘導加熱コイルはとりあえず φ2mmの錫めっき線を30mmの丸棒に巻いて、 10T(内径32mm)の単巻きコイルとした。 L(インダクタンス)の実測値は 2.2μHで、 同調コンデンサーの MKP(金属化ポリプロピレン)コンデンサーは、当初 0.33μF ×3個並列して 1μF より、発振周波数は 約107kHz。 これは、電磁調理器の周波数のやや高めの値となる。

  加熱テストでは、
  φ4mmドリル: 約5秒で赤熱、max31V・5A  ≒ 155 − 100(無負荷時の損失) = 55W
  φ6mmレンチ: 約7秒で赤熱、max29.2V・11A ≒ 321 − 100 = 220W
  この程度のパワーでは、FET(IRFP260M、200V・50A)の発熱は少なかった。(ファンは必要ないレベル) また、周波数が低いので 電磁波の放射はほとんど無かった
  ただし、水冷コイルではないので、ワークがコイルに接触すると コイルが赤熱してくっついて、へたってしまった。


 * IH Induction Heating、電磁誘導加熱)調理器 は、表皮効果のあるリッツ線を渦巻き型に巻いたコイルを用い、30kHz〜100kHz程度で、小型の家庭向けでは 鉄、磁性ステンレスなどの磁性体のみを加熱する。(厚めの鉄なべを用いる) 外国では、このZVS方式がよく用いられている。 日本では、IGBTによる、ハーフブリッジ、フルブリッジ回路が用いられ、低めの周波数(30kHz)である。業務用などでは、オールメタル対応として、3倍周波数(逓倍共振)で100kHz程度にしている。
 
 


  (2) 水冷コイルの接続:

  φ5mmの銅パイプ(1m)を、まず 端だけ残して 全体を赤熱程度にバーナーで熱してアニールしておく。 柔らかくなったところで、30mm丸棒に巻いていく。(巻き終ると加工硬化して 硬くなる。 酸で洗い スケールを落としておく。)
  内径32mm、巻き数 8T で、L(測定)は 1.2μH、 コンデンサーを増やして6個並列にし(2μF)、 発振周波数は 約102kHzと、(1)と だいたい同じになった。
  これに水を通して 自己発熱とワークからの傍熱による溶融を防ぐ。 冷却水は異径のシリコンゴム管をタケノコでつなぎ、バスポンプ(モノタロウ、11V仕様)を5V電源で駆動した。ポンプのみの状態で水に浸してスイッチを入れ、それから管につなげ、ポンプ内に気泡が無いようにして、水が管の中を十分流れるようにしておく。

  テスト結果は、 無負荷時に 5Aが流れ、 6mmレンチの加熱中に max25V・20A を経て、 赤熱後は 30V・10A程度に落ち着いた。

  FET、整流ブリッジの発熱は少しあり、そろそろファンを回しても良いかなという程度。 ただし、電源側の4個のトロイダルコイル(各9A)が発熱して限界で、もっと大きいものに交換する必要がある。

  * 鉄などの磁性体のみ発熱し、銀、銅、アルミなどの非磁性体は少ししか温まらなかった。金属は渦電流損を起こすための抵抗が低く(I2R)、磁気ヒステリシス損でのみ発熱するため。(純鉄のキュリー温度は 約770℃) 非磁性体の加熱・溶解には、また鉄の赤熱温度よりも上げるためには、 抵抗の大きな グラファイト(黒鉛)るつぼ に入れて間接的に加熱するのが一般的である。  あるいは、もっと高周波にして渦電流損を増やす。 ただし、高パワー(1kW以上)で高周波(数MHz)にするのは、簡単に手に入る素子がないので難しい。コンデンサーも高周波用となり、電磁波のシールドも必要になる。

 

   トロイダルコイルを20Aのものに交換するとコイルの発熱は収まった。 φ30mmのグラファイト(黒鉛)るつぼ(大きすぎ?)は、3分の1入れても、2−3分間連続して20A以上が流れ、底が赤熱して中のアルミが溶けかけたとき、50A定格のはずの整流ブリッジ(中国製)が煙を出して壊れた。(FETは発熱し ファンが必須となり、電源トランスも温まる) また、無負荷状態でしばらく置くと、周波数が高いためか、コンデンサーが発熱した。


  (3) 電源と ゲート電圧の調整:

  整流ブリッジは、1kV35Aのものを 2個並列に接続して、電源を増強した。 また、電源電圧が高い(33〜36V以上)と 12V1Wのツェナーダイオードを壊し、FETも瞬時にパンクするので、ゲート電源側に 20V1Aレギュレーター(TA7820S、Vin〜40V)を入れて、過大電圧がかからないようにした。

  グラファイトるつぼ(黒鉛るつぼ)は、20mmφ×20mmhの小型のものを用い、渦電流損で十分加熱された。 アルミニウムを溶かして、15Aくらいの連続消費。 アルミニウムは反磁性体なので、溶融中は12A程度に下がる。 銀(融点961.8℃、 5g)も、14A程度で十分 溶ける。

  (連続使用で、周波数が100kHz程度なので、20A以下でも、MKPコンデンサーがかなり温まる。 f = 50kHzが理想的。)



   (回路のまとめ)
 

  (4) FETユニットの2段化:

  20A以上にするとFETに負荷がかかるので、発振ユニットをパラレルの2段にした。 コイルは アニールした銅管(φ5mm)に エクシルチューブ(φ6mmのガラス繊維)を被せ、φ35mmの棒に 6T(ターン)巻き付けて作成した。 L = 1.1μH で、MKPコンデンサーは 0.33μF×10個 = 3.3μF より、 周波数は f = 84kHz 程度となった。 実際稼働してみて、コンデンサーの発熱は、100kHzの時よりも軽減された。
  ゲートスイッチを設けた。 電源を入れてゲートOFFのとき 0A、 ゲートスイッチをONにすると、アイドリング状態となり 6A。 ワークをコイルに入れると、電流値が跳ね上がる。

  1段では無理だった φ30×L40mmの黒鉛るつぼを、下1/3だけコイルに入れて加熱すると、アルミニウムを 約25A で 2−3分ほどで溶解することができた。 そのかわり、トランスと整流器がかなり温まった。 小さなるつぼにすると、容易に高温になり、銀も溶ける (5g、 15A ×1分)。




  3. スイッチング電源による駆動:


  φ30mm×h40mm 程度の大きさの黒鉛るつぼを何度も加熱するには、改造トランスの容量では発熱して限界がある。 そこで、1.2kW・36V出力の やや大型のスイッチング電源(100V/220V入力切替え)を購入(アリエク、中国製)して、駆動電源に使用した。
  当初、36Vでつなげたが、FETが2個 パンクしたので、出力電圧の調整VRを回して 24Vに設定すると、トランスの時のように動作した。(max34A)

  アルミ(25g)の溶解では、ルツボを下1/3入れて、25A連続で(電圧は24Vで変わらず、)FET(特に右側(コイル側)のセット)は発熱したが、壊れないで何度も溶解できた。 銀(5g)も、φ20mm×h20mmのるつぼで、簡単に溶融した。

 

  (追記 2022 7/16

  この回路構成で、発熱が偏って大きい コイル側のユニットに、 ゲート抵抗: 3W470Ω×2 → 3W1.47kΩ(1k+470)×2、 ツェナーダイオード: 1W12V×2 → 1W6.8V×2 の変更を施し、パワーのアンバランスはかなり改善した。(ゲート抵抗の寄与が大きい)




   §  大きなエネルギーの話:

  一般的な電子工作のレベルに比べ、電磁気エネルギーを熱に変換するには、2桁くらい高い大きなエネルギーを消費します。 シンプルな自励発振のZVS方式は、起動の時、FETのわずかな特性の違いから 発振を開始します。 適当なワークがコイルの中に入ると、そこに電磁気エネルギーが流れていきます。

  しかし、もっと大きな差があるものがあります。それは、エネルギーと 質量の間の変換です。 ある質量 m が 100%エネルギー E に変わったとすると、アインシュタインの等価公式、
       E = mc2 
によって、たとえば、1g の質量が 0.001(kg)×(3×108(m/S))2 = 9×1013(J) の膨大なエネルギーに相当します。 これは、1円玉(1g)ほどの質量欠損が、広島型原爆のエネルギーをもたらしたことになります。 また、太陽の中心部では、水素原子核(=陽子)の核融合が起こりヘリウム核に変換され、ごくわずかな質量がなくなる代わりに あの膨大な熱と光を発し続けています。 (・・・・ ただし、最近、太陽磁場、および、黒点の状態がおかしいらしい。)

  神様が、天地万物を作られたとき、宇宙の非常に大きな質量を作るために、さらに膨大な量のエネルギー(=光)を用いられたことになります。
  主が、イスラエルの死海の南部にあった、ソドムとゴモラの町を滅ぼされたとき、硫黄と塩と共に、スフィンクスなどの偶像を装飾していた金が蒸発して細かく分散し、「金の塩」ができていることがイスラエルの大学によって確認されています。 金の沸点は 2700℃なので、それ以上に熱く加熱されたことになります。(ヘンリー・グルーバー師メッセージ初めのほう、1989年からの調査)

  この天地万物の終わりの時には、すべてが火で焼き尽くされることになっています。 「主を畏れること、それが知恵の初め」(箴言1:7)です。



   「そのとき、神が 「光よ。あれ。」と仰せられた。 すると 光ができた。」(創世記1:3)

   「ソドムとゴモラの町々を破滅させ、焼き払って灰とし、神を畏れない人々の見せしめとし、」(Uペテロ2:6)

   「しかし、主の日は盗人のようにやって来ます。  その日には、天は大音響をたてて消え去り、物質原子は焼けてくずれ、地とその上に造られたものも、みな焼き尽くされます。」(Uペテロ3:10)





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